婚約あるいは結婚に使われる組み合わせ指輪。
ギメル・リングは、ルネッサンス(14-16世紀)の頃に、設計されたシャンク(腕・指輪の台座以外の指に当たる部分)のが2つ以上あり、相互にピボット(povit心軸)で連結して完成するシステムの指輪。2つのシャンクは、結婚する2人を象徴し、シャンクが3つある場合は花婿、花嫁と立会いの絆を表し、結婚指輪として使われます。(心臓と両方の手を意味するという説もあります。)
ギメル・リングのモチーフとして、「握りあっている手」を見ることが多いですが、このシンボルは、ローマ時代にあった「信用」を意味する握手をデザインにしたフェデ・リング(fede ring)、あるいはクラドー・リング(Claddaugh ring)から進化したものです。
もともとこの指輪はダブル・リング(duble ring二重の指輪)で、2つのシャンクはチェーンのように相互にリンクしていました。それぞれのシャンクは一面がフラット、もう一面がカマボコ形をしており、2つをフラット面で抱き合わせると、ひつの指輪になります。それぞれのシャンクに装飾された「手」と「手」が、握手するように組み合わされたときに、別々のシャンクはひとつの指輪として収まるようにできていました。
ギメル・リングは生命の結合を象徴したので、その指輪が外されたとき、2つのシャンクはバラバラになり、それは彼らの秘密の心中を露わにすることになるのです。
この指輪の制作には精密な部分を複雑に組み合わせる技術が要求されます。従って、価格は材料代よりそれに要した時間により決まります。
宗教家マルチン・ルター(Martin Luther)とキャサリン・ボラ(Catherine Bora)は、「1525年」と刻まれたギメル・リングで結婚したとの記録があります。
ちなみに、ヘブライ語のアルファベットの3つ目の文字が「ギメル(Gimmel)」です。これには「数字の3」の意味がありますが、ギメル・リングとの関係性はないそうです。
フィンランドには「ギメルGimmel」を名乗る女性トリオ(3人組)の人気ポップバンドがいます。
【語源】
ギメル(あるいはギンマル)はラテン語で双子(geminuts twin, gemini)を意味するgemellumが発達した古期フランス語gemelに。それから借入した中期英語のgemelが変形したgymel,gemol,gimol の古形英語。14世紀末から「蝶番(ちょうづかい)」、15世紀後半に2本一組にした横帯の紋章「ジュメル」、」17世紀になり聖書で「双子」の意味で使われるようになりました。
ギメルの欧文の綴りはgimel,gimmal ,などがあり、その意味は16世紀末から「時計などの継手」、17世紀の初めから「組み合わせ指輪」になりました。